Chap 01. 『絶望学園殺人事件』その5

2021. 12. 29. 04:11TDR21V - 小説・Japanese novelized

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「ユ、唯一の希望…?」
「一体どういう意味なの、これ…」
わけが分からない。人を殺してくれることを願うモノクマがこんな文を残したって?
エドガワさんも僕と大体同じ考えだろう。
「…エドガワさん。 今は、これに対する答えを探す時ではないようだ。 ひとまず、この個室の中で調査できることをもっと探してみよう。」
「そうね。くやしいけど…ね」

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:カケミズくんの「動機」


一通りの調査は終わったので問題のシャワー室を調べることだけが残った。そしてシャワー室は私たちの考えをひっくり返した。
「血、血だらけのシャワー室…」
「...」
明らかに外で殺されたため怪しい点がないはずのシャワー室は、排水溝を基準に四方に血が飛び散っていた。
「これは一体…」
エドガワさんは近くに行って血痕を調べてみた。 血と水気が混じっていた。恐らく犯人は掛水を血まみれに殴り、ここで血を洗って体育館に吊るしたのだろう。 しかし、何の理由か、血を洗う時間が十分でなく、部屋の血は完全に処理できなかったのだ。
「これは証拠になるかもしれない。」

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:血まみれのシャワールーム

「それじゃ… これから調査する所は?」
「調査するところはもうないけど、質問したい人がいるんだ。」
「そうだね。私はここでもう少し調査するから、先に行って。もしよかったら行ってるところににカツラギを呼んでくれ。 この血痕についてもっと調べてみたい。」
「うん。頑張って。」
質問する人は3人。 彼らを今探しに行かなければならなかった。
カツラギをエドガワさんのところへ運んで、僕は足を運んだ。
まず行ってみるところは… 売店。
「カネダ。よかったらちょっと話してくれないか?」
「うん?この忙しさの中に?俺は別に大丈夫だけど。」
カネダはホシカゲさんと売店を調べていたが、大した成果はなさそうだった。
「もしよかったら、昨日深夜の直前から今日の起床時間まであったことを話してくれない?」
「え、あえて俺?なんで?」
「後で他の人にも聞いてみる内容なんだけど、昨日の夜は少し気になることがあったんだ。 そこに君も絡まっているかもしれないから。」
僕の質問に彼は少なからず当惑したようだ。 数秒ほどためらってから話し出した。
「昨日は何もやらないで深夜になってからすぐ眠りに行ったんだけど、夜中…いつなのかはわかんねーけど、眠れなくてしばらく寮の中を歩き回ったよ。 主に洗濯室にいたと思う。 その後は普段と同じように寝て起きたぜ。」
噓だ。たしか昨日、カネダは、ホシカゲさんに調査の動向を提案したから、何もしなかったではない。恥ずかしいから隠すのは当たり前だろう。わざわざ内緒にしたいことは話さないようにしよう。
それなら手に入れた情報は早朝に出回ったという程度だけだ。

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:カネダの証言
:調査の提案


「わかった、教えてくれてありがとう、カネダ。 調査頑張って。」
「ん?うん。おめえも頑張れよっ!」
次に行くところは…
「イチノサキ!」
「うん?」
マモリくんが僕に走りながら向かってきた。 確かに体育館にいるべきなのに。
「まずいぞ. ちょっと体育館に来てくれ」
「何かあったのか?」
「アンナとセキガハラが喧嘩になってるぜ…とりあえず直接見てくれ。」
そう言ってマモリくんは僕の手首をつかんで素早く...
「うわぁぁぁ?!?!」
戦闘機のような勢いで全速力で体育館に駆けつけた。

「イチノサキ連れてきたぞ!」
到着するやいなや僕を投たが、照準を間違え体育館の壁に顔ごとぶつかってしまった。
「...」
痛いじゃんよ、おい···。 これは後でちゃんと仕返してやるぞ。
「いってぇ…で、なんで二人で喧嘩うってんだ。」
「いや、私は私が集めてきた証拠と、今のところを見てから、ツミギリが犯人じゃないかと推測してみただけなのに、このチビッ子がふざけんなとか言ってるのよ。」
「あんたがふざける言うからじゃない!ツルギは犯人なんかじゃないのよ!絶対、人を殺すような人じゃない!イチノサキ、あんたもわかってくれるよね? ねぇ?」
どうやらセキガハラの逆鱗がツミギリで、アンナさんがそれに触れて、この事態が起きてしまったようだ。 ちょっと厄介だな。
「まあまあ、とりあえず二人とも落ち着きなよ。ちょうど今壁に頭ぶつけて痛いのに頭まで痛くなってる。」
「美鈴ちゃんも落ち着けってよ、後であなたが食いたいもん買ってあげるんやで、ね?」
「ムダァー!!」
「ゲフン?!」
何だそのうめき声は。おまえドMか?
「···とにかく、まともな証拠がなければ私はこの主張は曲げないから勝手にしなさいよ。」
そう言うとアンナさんは2人を背にして外に出ようとした。
「……ちょっと待って。 僕もちょっと話そうぜ。」
体育館を出ようとした彼女の手首をつかんだ。
「…なんだよ。」
「いくら冷静に推理したとしても、みんなが納得できないし、本物の真実なんかじゃない推理なんて、僕は許せない。」
「で?打ちのめしてでもキャンセルさせるつもり?」
「···学級裁判で。」
「はあ?」
「学級裁判で、君の推理が間違っているということを証明してみせる。」
「……いいわ、勝手にしな。」
あっという間に「デュエルやろ」というふうになったがどうでもいい。 どうせ誰とでもこんな風にぶつかることになるとは思っていたから。
「それはともかく、アンナさんに聞きたいことがある。さき夜明けに大きな音がして寝そびれたって言ったけど、それはどういうことだ?」
「あ、それ?」
音のことを聞くと彼女は突然当惑したようにためらい始めた。
「···なんで何も言わないの?」
「その時には大したことじゃないと思ったんだけど、今になって確かに分かったよ。その音はそのまま通り無視しちゃダメだったのに···」
そして彼女が出した音の正体、それは…
「カケミズが誰かと戦ってる音だった。」

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:小競り合いの音


え…?