プロローグ『未知の学園』その3

2021. 12. 25. 03:44TDR21V - 小説・Japanese novelized

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「うぷぷぷぷ~おまえら、市立月島学園にようこそ~」

「何言ってんやねん、あいつ。」

舞台から飛び出してきた人クマのぬいぐるみはそう言いながら僕らに近づき、握手をしようともしてるよう手を出した。

「ボクはこの学園の学園長のモノクマ!よろしくま~」

「モノクマ?」

「こんなちっちゃい野郎が学園長とは、世界も終わっていくんすかねー」

「そんなこと言わないでよ!こんなにかわいい熊だから、学園長してもいいじゃん!」

あんな姿でかわいいって?口の右側に恐ろしそうな牙もあるのに?

「すまんが、われらはいたずらをしているのではない。本物の学園長を連れてきたまえ。」

「だから言ってるだろ。ボクが、この月島学園の学園長だって!」

ツミギリくんが注意深く聞いてみたが、このクマは自分が本当に学園長だと意地張っていた。

「とにかく、これからお目らにこの学園での生活について教えてやるよ!一度だけ言わないから耳開いてよく聞きなさい!」

そして突然モノクマは”この学校での生活”ということを話し始めた。あまりにも突然な状況で状況の把握がつかなかった。

 

「まずはこれより、この月島学園6期生たちの”ザ・コロシアイ生活”の開始を発表します!」

 

「コロシアイ..?」

「では今からルール、つまりこのコロシアイ生活の規則について話しましょうー。

ルールその1、この学園での生活の制限期限はありません!」

…はぁ?

「んだとー!」

「ルールその2、この学園を調査することは自由です。存在しない脱出口を探すのも、友達を殺せる道具を探すのも自由!

ルールその3、校長のモノクマへの暴力は禁止です!少しでも痛かったら処刑だからね。

ルールその4、ここの16人の参加者のうちにだれか殺されたら、全員が参加する”学級裁判”が開きます!」

「学級裁判..?」

「えー、これ以上は僕も面倒だから。さぁ、これ一つずづもらって。これはカネダくんの、そしてこれはシルシさんの、そしてこれがー」

みんなの言葉を無視し、モノクマは後ろからスマートフォンみたいなものを一つずづ渡した。

「じゃ、ほかのルールはこのモノモノフォンを確認してねー。それぞれの指紋でしか作動しないから、他人が使ったりはできないよ!」

それは本当だった。ちょっと旧式であったが、ホームボタンの指紋認識装置でロックが開けるようだ。

モノモノフォンにはルールを見るアプリのほか、普通の形態のように団体チャットや電子辞典、暇つぶし用のゲームなどが搭載されていた。

「さてと、次はー」

「ふざけんなコラー!」

マモリくんがいきなり叫びながらモノクマを取り上げた。

「俺たちに”互いを殺せ”?永遠に生きろ?いい加減にしろ、このド畜生が!」

「ちょ、ちょっと!マモリくん、やめー、やめてぇー」

「今だったここから卒業して外でやりてえことは山ほどあるのに!早く俺たちをここから出せってんだ!」

「やめなさい、マモリくん!まかり違えば、あの処刑ってやつを…」

「んなのどうでもいい!早く出る方法を言え、このくそクマ野郎がよ!」

カケミズくんが彼を止めようとしたが、さすがは超高校級のボディーガード、簡単に切り離してしまった。しかしその時、

 

(ピー)

 

モノクマの体が赤く光るとともに、何かが作動する音が聞こえてきた。

これは、確か。タイマーだった。何かを起動するためのタイマーのカウントが縮んでいく音だった。ピピピピーと、音の感覚は減り、だんだん早くなっていた。

「マモリくん、それ投げて!」

「はぁ?!」

「いいから早く!」

何らかの危険を感じたエドガワさんがモノクマを投げるよう指示した。彼もやはり緊張していたのか、モノクマを大きな気合を出しながら遠く、高く投げた。そうしたらー

 

(バァーン!)

 

モノクマの中から何かが爆発するとともに、本体のぬいぐるみはそのまま消えてしまった。

どうやら身を守るための防御プログラムで、何かのトリガーで作動するダイナマイトのようだった。

「なんやこれ、やばいじゃん…」

「よかったにゃ。もう少し遅かったらそのまま…想像もしたくにゃいにゃ。」

「そんな、マジで死んじゃうのか、俺たち..?」

爆発のせいで、みんなが恐怖におびえるようだった。

このまま入学式が終わるのか、としたがー

「うぷぷ~」

「うわっ?!なんすか!」

急にカツラギくんの後ろからモノクマがはじめったらいたというような変な笑い声を出しながら現れた。

「エドガワさんは偉いね~、友達を生かしてくれるとは。そのまま死んじゃったらもっと楽しかったはずなのに。うぷぷぷぷ~」

「オノレ..!」

「まぁ、いまさらそんな話どうだっていいや。とにかく今からはお前らが過ごす寄宿舎に案内するからついてきて。もう午後9時だし、疲れたでしょう~?」

そういったモノクマは体育館を出ながら、僕らを導き始めた。あまりにも速い展開に、僕は全く状況を理解できなかった。

…ていうか午後9時って?今は夜ってことか?

「じゃあ、今は朝じゃなくて、夜ってこと…」

そんな、最初からこれは入学式も何にもなかったのだ。

僕は心のうちから怒りを出しながらゆっくりと体育館を抜け出した。